筆記した文字が紙ににじんでしまう、というご相談をよく受けます。
にじみについては、ペン先側に問題があることは少なく、むしろ「紙」と「インク」の選択によって変化します。
紙質が劣ると、繊維が大きくなり、にじみやすくなります。また字幅も太く感じられます。
またインクの粘性が低い(サラサラ感)とにじみやすく太くなります。
一方、上質紙ほど紙の繊維が細くなり、にじみにくく、字幅も細く感じられるようになります。
また、インクの粘性が高い(ドロドロ感)とにじみにくく、細い印象となります。
写真は、デルタ万年筆ドルチェビータ(字幅細字、純正インク)ですが、紙の種類によって、筆記した文字の印象は大きく変わります。
逆に申せば、にじまない程度にインクフローを抑えれば、今度は引っかかりやかすれが生じてきますので、インクのにじみはペン先調整では解決できないとも言えます。
にじんだからと、すぐにペン先の不具合と考えられずに、紙やインクを変えてみられると、また新しい表情が見られると思われます。
筆記しやすい紙と、筆記しにくい紙があることをご理解の上、お使いの万年筆やインクと相性のよい紙を見つけられるとよいですね。
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にじみにくく、シャープな線になりやすい粘性の高いインクや顔料インクは、相反してペン先が詰まりやすくなります。
毎日使って、インク入れ替え時やカートリッジ交換時にはしっかりと洗浄することが、長く快適にお使いになられる秘訣となります。