万年筆のペン先調整を体系立てて学んだり、教えたりできないか、試行錯誤してきましたが、いまだマニュアルのようなものはできておりません。
まずは、万年筆の構造をよく理解し、万年筆一本一本の特性を見て触らなければなりませんが、さまざまな理由からそのような教育の環境をつくることが現状では困難ということになります。
万年筆のペン先調整は、将来、爆発的に需要が増える可能性は非常に低いと考えられます。
万年筆のペン先調整だけでなく、例えば、刃物の研ぎ師、ピアノの調律師など、すでにあるものに手を加える技術とその需要は減少していくと予想されます。
しかし、そのことを悲観的に捉えるのではなく、万年筆とは何か、書き味とは何か、本当に良いものは何か、を追及されている方のこだわりに携われる喜びを感じるべきと捉えています。
手元に来た万年筆とのご縁を大事に、一本一本淡々と作業していくのが私の使命と考えています。