時折、「万年筆には個体差がある」というご説明をさせていただく場合があります。
万年筆は同じメーカー、同じ種類であっても、細かな部位を見ると微妙に一本一本異なります。
書き味の点で重要なのはペン先ですが、特に切り割りの部分に特徴が現れます。
写真のペン先は、ペリカン スーベレーン M800のM(中字)のペン先ですが、よく見ると、切り割りの左右のバランスが偏っているのがわかります。
紙と接触する玉側にも偏りが見られます。
しかし、これは不良品というレベルではなく、あくまで個体差という範囲ですが、書き味に影響します。
このように切り割りに偏りがあると、かすれやすく、引っかかりやすくなります。
ペン先調整は、このわずかな偏りに沿って、偏りを解消するイメージで調整することになります。
違いはルーペで覗かなければわかりませんが、筆記すると、この微妙な違いが感じられる人の手の繊細さに改めて驚かされます。
そこにこだわるのが万年筆の醍醐味と言えるのかもしれませんね。