いつも川口明弘の調整万年筆をご利用いただきありがとうございます。
万年筆は、メーカーによって、毎年新商品が販売、改良され、同時に廃番品となるものも多くあります。
廃番品とはいっても、名品と評価され、長年に渡って多くの方に愛させる万年筆もあります。
中古万年筆を購入する際に、どのようなポイントをチェックする必要があるのか、写真では判断が難しいポイントに絞って、今回よりシリーズとして解説してみたいと思います。
【モンブラン編1】
モンブラン マイスターシュテュック149、146
不具合の多いポイントとしましては、「吸入不良」と「インクフロー不良」があげられます。
吸入不良で多い原因は、ピストンの軸の破損です。
無理に尻軸を回してねじ切りしてしまったものや、経年劣化、インクが回り込んで固結し、尻軸が回らないものもありますので注意が必要です。
↑ ギリギリ使用可能ですが、いつ破損してもおかしくない状態のものです。
また、経年により内部の樹脂が経年劣化し、ピストンは動くが吸入されないものもあります。
このような状態は、内部の部品交換が必要となることがほとんどとなります。
↑ 比較的きれいな状態ですが、樹脂にインクかすが溜まっており、このまま放置すると硬化します。
次に、インクフロー不良の原因は、ペン芯の不良を原因とするものがあります。
近年のマイスターシュテュックはプラスチック製のペン芯となっておりますが、1980年代以前のエボナイト製のペン芯です。
エボナイトは硬い性質をもちますので、長年インクを吸入させたまま放置されたものは、インクとともに硬く固結し、それが詰まりの原因となってインクフローが不良となります。
空気穴にも詰まってしまいますと、
気液交換ができなくなり、インクタンクからインクが伝わらないことになります。
このような状態のものは、分解して、部品をそれぞれ超音波洗浄することで除去できますが、中にはペン芯が変形しているものもありますので要注意です。
マイスターシュテュックの軸自体は硬い素材と構造ですので、クラックや割れが生じることはほとんどないのですが、無理に分解したものなどは、尻軸側にクラックがあることがありますので確認する必要があります。
以上のポイントは、写真では判断が難しく、目視や手にとってわかることがほとんどとなります。
ペン先につきましては、大きく曲がっているもの以外は、ペン先調整にて修理することができます。
軸の小キズは磨くことである程度は除去できます。
当サイトでは、ペンドクター川口がそれぞれの状態を評価、チェックして、ペン先調整を施して販売させていただいております。ご購入後のメンテナンスにも対応しておりますので安心してご購入いただけます。